守りたいものはたくさんあるけれど、壊したいものは、きみだけなんだ 生徒会の女の子たちが、楽しそうに会話している横で、スザクは自分にこれっぽっちも懐こうとしない猫に構っていた。 今日はルルーシュが学校へ来ていない。本当に構いたい相手に限って、目の前にはいなかった。 「やっぱりね、求めるばかりでは恋愛は成立しないのよ」 この学校の生徒会長であるミレイの自信満々のその言葉に、アーサーに指を咬まれてあげたスザクの小さな悲鳴は飲み込まれてしまった。別に誰かに気付いて欲しかったわけではないのに、条件反射で漏れた小さなうめきだった。 「でも、好きな相手にはもっともっとって思っちゃうじゃないですか!」 不貞腐れたように頬を膨らましたシャーリィは、誰のことを想像しているのか微かに頬が赤い。そんな少女らしい仕草に、ミレイは余裕の笑みで返す。 「そ・れ・は!まだ恋愛じゃないのよ!恋の部分なの!愛は逆に与えたり包んだりするものだから。どちらか一方でも恋愛は成立しないのよ!」 「恋は奪うもので、愛は与えるものってのが、昔からミレイちゃんの持論よね」 自分の意見に絶対の自信を持つ生徒会長の態度に、横で聞いていたニーナがくすくすと小さく笑った。シャーリィに至ってはまだ納得のいかない表情で何やら反論していたが、それらの会話はスザクの耳には届いていなかった。ただぼんやりと、心の琴線に触れたフレーズだけを、口の中で静に反芻する。 「恋は奪うもので、愛は与えるもの・・・」 それならば自分は…今恋をしていると言えるのかも知れない。 奪っても奪っても奪い足りない。骨の髄までしゃぶりつくしてやりたいような相手が、たった一人だけ思い当たった。 彼はいつも自分の頭の隅にいて、何かとスザクの脳裏を過ぎっていく。 でも、好きだとか、そんな感情ではないような気がしていたのに。 その体を構成する全ての部位を粉々に壊して、飲み込んでみたい。あの華奢な体躯を、折れるほど強く抱きしめて、砕いてもう二度とどこかへ行ってしまわない様に。 心まで全部が欲しかった。 一見冷たいのに、触れると驚くほどに温かい、紫電の瞳。 「…ルルーシュ」 ランチを屋上でのんびりと取ったルルーシュとスザクは、特にすることもない昼休みを、ぼんやりと空を見上げ寝転んで過ごしていた。 世間の動乱が嘘のように晴れ渡った空が、ひどく眩しい。そのクセに、思ったよりも肌寒くて、自分は大丈夫だけれど脂肪も筋肉も蓄えていなさそうな隣の幼馴染は、冷え切ってしまっているのではないかと少し思った。 「ルルーシュ、寒くない?」 上体を起こして隣りにいる相手を見やり、スザクは少し驚いた。ルルーシュは、眠っていたのだ。 「…こんなところで寝たら、絶対に風邪引くのに」 小さな寝息を立てて、無防備に横たわる親友の眉間には、微かな皴が寄せられている。折角の綺麗な顔が勿体ないな、と思わずスザクは苦笑を零した。 形のいいルルーシュの唇から、深い呼吸が漏れている。それにあわせて上下する胸を見ているうち、不思議と右手が動いていた。 「濡れたタオルでもあればよかったのに」 楽しくなってきてどうしても上がってしまう口角を戻す努力もせずに、スザクはその骨ばった大きな掌でルルーシュの鼻と唇を覆った。 掌が、じっとりと汗でしめっているのがわかる。 少しの間は特に変わったところのなかったルルーシュも、スザクがその顔に一層掌を密着させると、苦しげに眉間の皴を深くした。 より確実に空気の出入りを塞ぐために、そっと鼻をつまみ、僅かに開いていたルルーシュの口を無理矢理閉じさせた。 途端屋上が、先程よりずっと静かになった気がした。 「んっ…んんっ!!」 ルルーシュが苦しげに呻き始める。瞳を開けずに抵抗を始めた幼馴染を、スザクは一層の力でもって押さえつけた。 「んん…!!んんっ!!!!」 さすがに目覚めたのか、紫電の瞳が細く開かれていた。眦にはかわいそうなくらい涙が溜まっている。状況を理解しているのかどうかもわからなかったが、ただ苦しみから逃れるためにルルーシュはスザクを振り払おうと大きく暴れ出した。 「ルルーシュ、大人しくして。すぐだから」 ルルーシュの様子に反するように、スザクは静にそう囁くと、笑うでもなしに瞳を細めた。 抵抗する男の体を押さえつけるために、左腕でその喉元を締め付け折らない程度に体重をかける。こんな細い首なら、きっと少し加減を間違ったら難なく折ってしまうだろうという核心がスザクにはあった。 口元と鼻を押さえて呼吸を止めるだけでは飽き足らず、喉仏まで力を加えられていよいよルルーシュの目の前は真っ白になった。あまり苦しさに瞳からは止めどなく涙が溢れ出てくる。けれどどんなに必死に抵抗したところで、目の前の親友は表情ひとつ変えたりはしないのだ。 徐々に脳に霞がかかっていき、四肢が痺れるような感覚を最後に、ルルーシュは再び瞼を下ろした。 吊り上げた魚のような動きをやめて、突然おとなしくなったルルーシュに、スザクの両腕の力が抜けていく。 「…ルルーシュ?」 恐る恐る湿った両手をその体から離したが、ルルーシュはカクンと項垂れたままだった。 「ルルーシュ」 横たわるその体を見詰めていると、どうしようもない息苦しさがスザクを襲った。自分の首を絞める犯人でもいるのかと、屋上中を見渡したが、吹き曝された其処にいるのは自分とルルーシュの二人きりだった。 喉の奥を何かがせりあがってくる感覚を必死で飲み込み、スザクはルルーシュを抱きしめていた。 「ルルーシュ、ルルーシュ」 涙でボロボロの美しい頬に手を当てると、まだ微かにルルーシュが呼吸を繰り返していることがわかった。 「ルルーシュ?」 その瞬間、スザクの下腹部に信じられないくらいの速さで熱が集中していく。苦しいぐらいに張り詰めた自身を自覚して、スザクは目の前で眠る幼馴染に噛み付くようなキスをした。 「ひどい…ひどいよ…」 ただ一方的にルルーシュの口内を蹂躙し、それでも目覚めないルルーシュに、苛立ちを感じていた。キスいつしか噛み付くようなものではなく、食いちぎるような獣じみたものになっていき、意識のない青年の顔を痛みに強張らせる。 焦れた指先で引き剥がすようにルルーシュのズボンを下着ごと取り払い、寒空の下に親友の恥部を露にした。 「ルルーシュ、どこまですればきみを俺のものになるの?」 当然勃ちあがってもいないルルーシュの性器には目もくれず、スザクはその後ろの小さなしまりへと指を這わせた。乾いたそこに乾いた己の指を無理矢理ねじ込むと、またしてもルルーシュが痛みに眉を寄せる。 「…俺のが濡れてるから、大丈夫だよね」 充溢した自身を取り出すと、それはすでに先走りでテラテラと光り、一層グロテスクに存在を主張していた。痛いほどに張り詰めたそれを、全くならしもしていないルルーシュの後肛に宛がう。 「クソッ!少しも入らない…」 指先すらも受け付けないほど硬く閉ざされたルルーシュの蕾が、スザクの膨張した一物に無言で抵抗する。しかし、スザクは細く肉付きのわるいルルーシュの尻を無造作に掴むと、力いっぱい左右に引っ張って穴の存在を明るみにした。 「これで先端くらいは…」 呼吸するように微かに開閉を繰り返す的にむかって、力いっぱい仁自身を挿入した。 「………っ!」 あまりのきつさに眩暈がする。けれどそれで挿入を止めることなく、スザクは破裂せんばかりの自身を無理矢理に推し進めた。メリメリと、肉を掻き分ける音をさせて侵入をはかる。白い尻を掴んでいた掌に、暖かな水のようなものが垂れてきた。 それはルルーシュの血だった。無理な挿入に当然のことながら入り口が裂けてしまっていたのだ。気付かぬうちにスザクの一物はルルーシュの血液で真っ赤に染まっていた。 「んっ…」 薄く開かれていたルルーシュの唇から、小さなうめき声が漏れた。 スザクが強めにその頬を打ってやると、意識を取り戻したのか紫電の瞳が見開かれる。 「グッ!ゴホッ…!ゲホッ…!!」 すぐに苦しげにむせ出したルルーシュを気にも留めずに、スザクは更なる奥への侵入をはかろうと腰をすすめていた。 「クッ!!…ゴホッ…!スザック!!…スザク…!!」 苦しげな堰の合間から自分の名前を呼ばれて、自然とその顔を覗き込むように見詰めてしまった。 「スザク…!何だ・・・これは…一体…??…痛い…痛い…っ!」 意識を取り戻したばかりで混乱しているのだろう。どこが痛いのかもわかっていない様子のルルーシュはただ眦にいっぱい涙をためて、痛みに歯を食いしばっていた。自分がどうしてこんな状況に陥って、今何をそれているのかも理解していない瞳で、縋るようにスザクの体に両手を回してくる。 「…ルルーシュ」 「痛い……痛い…」 堪えきれずに流れた涙を見た瞬間、スザクは一気にその細い体を奥まで貫いた。 「グッアアアアアアアアアアァアアアああああアッァァァアアア!!!!!!!!」 茂みが血だらけの尻へと着くほどに深く挿入し、休む間も無く動き始める。スザクにとって幸いだったのは、裂けた箇所から大量に漏れる血液でひどく滑りがよかったことだった。 断末魔のよう悲鳴をあげたルルーシュの唇に、食らいつくようなキスを落とし、前後の動きを続けたまま、無抵抗で逃げることもない舌を強く吸ってやった。 戯れに唇を咬んでやったら、思ったよりも強かったらしく、そこから血が溢れ出てきた。 「…ヒィ…ひっ…ぁ…つぁ…」 痛すぎてもう叫ぶ気力もないのかもしれない。ルルーシュは血が流れる唇をだらしなく開いたまま、言葉にならない声を漏らし続けていた。 スザクは傷口を舌で抉るようにしてその生暖かい血を吸い出してやる。もう痛がりもしないルルーシュの瞳は、焦点が合っていなかった。自分を映さない紫電の瞳に、思わず自嘲的な笑みが零れてしまう。 「ルルーシュ…ルルーシュ…」 「あっ…うぅ…あっ…くぁ…ひ…」 そんなルルーシュを見詰めながら、その中で自分自身が脈を持ってより一層大きくなるのをスザクは感じた。 ルルーシュが苦しげに顔を歪めた。 「ルルーシュ…ルルーシュ…俺がきみに恋をしているって言ったら、きみは信じるかな…」 このまま突き上げ続けたら、自分の腕の中で幼馴染は死なないだろうか。 死ねばいいのに。 誰も気付きはしなかったけれど、スザクは少し、泣いていた。 |