あなたの主人になれたらいいのに


「ハハッ!いい格好だな、スザク!」
閉鎖された室内に、鋭く空気を切る音が響いた。僕は下半身に受けた鋭い痛みに思い呻き声を漏らす。麻痺した感覚では、果たして打たれたのが尻であるのか、腿の裏などであるかすらも判断できなかった。
「くっ!」
「何だ?一丁前に痛がっているのか?」
黒のビキニパンツにノースリーブのタートルネックという倒錯的な格好でにやりと笑ったルルーシュ・ランペルージの手には、しなやかに曲がる乗馬鞭が握られていた。
ルルーシュは四つん這いになった裸の僕の背に跨り、楽しそうに笑い声を上げている。それはまるで小さな子どもが強請る「お馬さんごっこ」のような姿で、しかしそれにしては彼はあまりにも淫猥で背徳的な雰囲気を漂わせていた。
陶磁器のように冷たく白いルルーシュの体とは違い、訓練や軍務で日に焼けた僕の肌には多くの蚯蚓腫れが走っていた。誰がどう見てもそれはルルーシュの手の中にある細身の鞭によってつけられたものだとわかる。
「さぁ、このまま俺をあのソファーまで運べ」
「くぁっ!」
せっつくように僕の尻に鞭を振り下ろし、ルルーシュは尊大に言い放った。もう何度目かもわからない彼のその動作に、見なくとも、自分自身の尻が真っ赤に腫れ上がっているだろうことがわかる。
普段の僕らしくもない機敏と言えない動作でずるずると前進し、ルルーシュに命じられたソファへと背中の主人を運び終えると、安心したように小さく小さく溜息をついた。
「何を溜息などついているんだ!」
「痛っ!」
ルルーシュの鞭が鳴る。四つん這いのままだった僕の背に、鮮やかな線が走った。
「折角俺がお前が喜ぶだろうと「お馬さんごっこ」をしてやっていると言うのに、その態度は何なんだ!」
先程までの上機嫌とは一転し、声を荒げたルルーシュは怒りに任せて乱暴に僕に鞭を振るい、体を蹴りつけた。思わず尻餅をつく。
「…ルルーシュ…」
呻きのような吐息に混じり、親友の名を呼ぶ。図らずしも、その声はどこか甘美なものとなった。
「フン!何だ、やはりお前も楽しんでいるんじゃないか」
カッと頬を紅潮させて、ルルーシュは吐き捨てるように呟いた。情欲に潤んだアメジストの視線の先には、はち切れんばかりに充溢した僕のペニスがあった。
「そんな風にちんぽおっ勃たせて、溜息をつくなど許さないからな!」
「うっ!ル…ルルーシュがちんぽだなんて…本当にきみはがさつになったね…」
ルルーシュが裸足の足裏で思い切り僕の股間を踏みつけた。勿論それにはひどい痛みがあったが、何よりもルルーシュの体の一部が僕の性器に触れているという事実に、腹の底から興奮が湧き上がる。
「うるさい!スザクのくせに!貴様こそいつの間にこんな変態になったんだ!」
「くぅっ!」
ルルーシュの足に力が入る。
確かに感じているはずの痛みや苦しみとは裏腹に、僕のペニスはドクドクと一層強く脈を打つ。
「ルルーシュの足が…僕の汚いペニスを擦ってる…ぁあ!ルルーシュ!!ルルーシュ!!!」
絶頂が近づき、さらなる高みへと上り詰めるために僕の腰は自然彼の足にペニスを擦りつけようと揺れる。しかし、それまで薄汚く濡れたペニスを圧迫していたルルーシュの白い足が突然容赦なく僕を蹴り上げた。
「何を勝手に動いている!」
「くぁっ!」
「スザク貴様!今勝手にひとりでイこうとしたな!!この救いようのない恥知らずめっ!」
ギンギンにペニスを勃起させたままルルーシュの足元にへたり込む僕の頭を、先走りで濡れた足で踏みつけながら、彼は唾を吐き捨てるように言葉を搾り出した。
「ルルーシュ…あぁルルーシュ…!いいよ、きみ気が済むなら…勝手にイこうとした僕をもっと踏みつけてくれ…!」
暴力と言えば聞えは悪いかも知れないが、ルルーシュの取る行動の全てが僕には彼の愛情表現なのだとわかっていた。その証拠に、僕のだらしなく緩んだ笑みを見下して、確実に彼は興奮しているのだ。タイトなビキニパンツの前が、窮屈そうに張っている。黒いのでよくわからないが、薄っすらと濡れたような色をしている気もした。僕を詰り、蹴り、打って自分のペニスを勃起させ、あまつさえ触れてもいないのに先走りを溢れさせるルルーシュが、世界一可愛く思える。
「この馬鹿が!自惚れるな!」
「あぅ!」
ルルーシュが一際力強く顔面に蹴りを入れると、僕の鼻からつぅっと一筋の赤い液体が流れ出した。骨の折れた感覚はなかったから、奥の血管が切れたのかも知れない。気付けばルルーシュの足は僕の汚い鼻血で微かに赤く染まっていた。白い足に鮮血がよく映える。
「ほら見ろ。お前のせいで足がこんなに汚れてしまったじゃないか。仕方がないから舐めさせてやる。喜んで綺麗にしろよ」
「…ありがとう、ルルーシュ」
ぐいと僕の眼前に差し出されたルルーシュの足は確かに僕の先走りやら鼻血やらでひどい有様だった。
鼻先を近づけると、生臭い匂いに混じって、ルルーシュの体臭が香ってきた。
「はぁ…ルルーシュの足…美味しい…」
僕は舌で丁寧にルルーシュの足を汚す汚れたちを舐めとっていく。けれど少しでも長い間この愛おしいルルーシュの一部をしゃぶり続けていられるように、丹念にしつこく、焦らすようにほんの少しずつ。特に指の股などは、何度吸い付いても足りないほどだ。時々この小さく整った白い指を噛み千切って僕の中へ取り込んでしまいたい衝動にかられたけれど、それはぐっと我慢した。
「ふふふ…どうだ?俺の足は。お前が喜ぶと思ってわざわざ今日はシャワーを浴びるのを止しておいたんだからな。感謝しろよ」
「うん…ルルーシュ…すごいよ、すごい美味しい。食べてしまいたいよルルーシュ…」
甘く誘惑するように僕の鼻腔を満たすルルーシュの体臭に、今にも眩暈がしそうだった。
許されるのならこのまま一生彼の足を舐め続けていたい。そしてふやふやにふやけてしまった頃を見計らって、一思いに噛み千切って飲み下すことができたらどんなに幸せだろう。
「ん…っ…バカ、そんなにがっつくな。本当にお前は変態だな、スザク」
僕に足を舐められて感じているのか、ルルーシュの声に先程よりも一層甘い響きが加わっていた。舌を休めることなくちらりと見上げた彼の顔は、潤んだ瞳に濡れた唇、射精してしまいそうなほど淫猥だった。
「何だスザク?物欲しそうな顔をして…まるで犬…いや、それ以下だな」
僕の視線に気付いたルルーシュが、意地悪く僕の舌から足を引いた。途端にひどい空虚感が僕の胸に去来する。名残惜しそうに真っ白な細い足首を追っていると、不意にルルーシュの両足が僕の首に絡まった。
「あっ…!」
「どうだ?本当は足なんかよりも、俺のこれをしゃぶりたいんだろう、スザク」
か細い足には不似合いの力で引き寄せられ、僕はルルーシュの股間に顔を埋める形になってしまう。彼はまるで自分の股間で僕を窒息死させるように、無意味なほど強く両足に力を込め、引き寄せ締め付けてくる。
ちょうど唇に触れた下着越しのルルーシュのペニスが、ドクンドクンと玩具の様に脈打っているのが伝わってきた。しとどに濡れて青臭い匂いを放つ底に、僕は目の前が真っ白になるほど興奮した。うまい呼吸の方法も忘れ、息苦しさから思わず大きく息を吸い込むと、それと同時にルルーシュの先走りの匂いを肺中に吸い込んだ。
「ほらほら、俺のちんぽの匂いはするか?存分に嗅がせてやる、嬉しいだろう?」
「すごい…青臭くていい香りだよ、ルルーシュ」
僕の唇の触れる先で、硬く勃起して窮屈そうに濡れた布を押し上げるルルーシュのペニス。その熱く熟れた性器を目の前に、僕は無意識に舌をだし、その先端で目の前の勃起を突いてしまっていた。
「おいっ!誰が舐めていいと言った!お前は《待て》もできないのか!!」
すると僕の熱い舌の感触にすぐに気が付いたルルーシュが、敏感に怒りを表し、それまで窮屈なほど両足で抱き寄せていた僕を突然蹴り飛ばした。
「ごっ、ごめん…!」
「お前は謝ったら何でも許されるとでも思っているのか!?このっ!変態犬がっ!」
蹴り飛ばされて背中から床に倒れた僕に、ルルーシュの乗馬鞭がうなる。
「あっ!うぅ!!っあ!!」
剥き出しの僕のペニスのすぐ横、硬い内腿に何度も何度も鞭がしなる。いつその攻撃が急所に飛んでくるともわからぬ恐怖に、僕は余計に性器を硬くしていた。
「どうせっ!お前はそうやってっ俺の言うことなんてっ何ひとつきかないんだろっ!どうせ俺の命令なんてっ端からきく気がないんだろっ!どうせっ…!!」
ヒステリックに叫びながら、ルルーシュは僕に鞭を振り下ろし続けた。たまに僕が無意識で彼の命令を破ったりすると、ルルーシュはこうやって僕をひどく折檻する。けれど軍人の僕は確かに痛いけど本当はそれほどその体罰が堪えるわけではない。ただ、狂ったように僕を痛めつけるルルーシュの悲痛な叫びと今にも泣き出しそうに歪んだ顔が、心底僕を打つのだ。
「ごめんルルーシュ!もうっ…もうきみの言いつけを破ったりしないよっ!勝手なことしないから!!…ルルーシュ!!」
そう言ってなおルルーシュは手を休めないことを僕は知っている。けれど、こんな彼を目の前にして、何も言わないわけにはいられない。
僕を打ち続ける間ルルーシュは、僕だけを見詰めている。僕のことだけを。世界中にある他の全て、例えばナナリーすらも入り込む余地がないほど、ルルーシュは僕に夢中なのだ。そう思うと、僕は悲壮な幼馴染を目の前にした切なさや悲しみと同時に、他のどんな行為でも勝ち得ないほどの幸福感を得ることができる。それが不思議と言い様のない興奮へと結びつき、僕は余計に頬を染めてしまうのだ。
「お前はっ…!!!黙って俺の言う通りにしてればいいのにっ!!!どうせいつかは俺のこと裏切って、ごめんで済ませるつもりなんだ!!!!」
「ルルーシュ!!!そんなことっ!!っあ!!!そんなことあるわけないだろっ!!!!!!」
痛みと快感で理性を失いそうな僕、けれど本当には理性を失えない僕の叫びすら、今のルルーシュには聞えない。

暫らく泣き声のような叫びと喚きをあげて僕を鞭で打ったルルーシュは、漸く大人しくなったかと思うと唯一自分自身の下半身を覆っていた黒いビキニパンツを無造作に脱ぎ捨てた。普通なら萎えていてもおかしくもないはずなのに、ルルーシュのまだ僕のよりも色の薄いペニスは、可哀相なくらいに張り詰めて先走りでテラテラと濡れていた。僕の喉が鳴る。
僕はと言えば激しい鞭の攻撃で足の感覚は麻痺しかけ、普通ならば勃起どころではないはずなのに、ルルーシュと同様ペニスは不思議なことに硬度もそのままにむしろ通常のセックスをするときよりも大分膨張していた。僕らはお互い、ひどく興奮して先程にも増して性器を勃起させていたのだ。
「ルルーシュ…きみって奴は…」
「…スザク…」
ルルーシュは僕の上に乗り上げて、口元を不自然に引きつらせた。澄んだ紫水晶の瞳は、普段の叡智に満ちた輝きを失い、どんよりと薄暗く濁っている。
「…舐めて、綺麗にしろ」
彼は僕の顔の上に徐に腰を落としてきた。敏感な鼻腔を、ツンと刺激臭が霞める。ルルーシュのアナルの臭いだった。
「どうだ?今日はシャワーを浴びていないと言ったろう?お前の汚いチンポを入れてやるんだ、お前が自分で綺麗にしろよ」
僕は、ルルーシュの言葉にうっとりと目を細めた。ルルーシュはこれからちゃんと僕に挿入させてくれるつもりらしい。まぁ、いつもさせないとか言っておいても、結局最後は許してくれるのだから、つまるところルルーシュも僕にぶち込まれるのが好きなんだろう。サディストの振りをしていても、芯からマゾヒストなんだから、本当に可愛い。
「…勿論」
「…んっ…ぁ…」
微かな悪臭を放つルルーシュのアナルに舌をねじ込む。じっとりと濡れた蛭のような僕の舌を限界まで伸ばし、彼の内部の粘膜すらも舐め取るように力強く動かすと、ルルーシュは鼻にかかった甘ったるい声を漏らした。
「…ふぁ…ぁ…っ」
唾液を送り込むようにして入り口を解し、両手でその肉付きの悪い白い尻を割りながら舌の届く限界を目指す。僕の頬に当たる、彼の内腿は、その隠された肉壁同様痙攣するように微かに震えていた。
ぴちゃりぴちゃりと、彼の喘ぎに混じって水音が響く。
「……っ…ひぁ……気持ち…悪い…っ!」
気持ちいいの間違えでしょう?と、今口が自由だったなら訂正してあげたかった。それほどルルーシュの甲高い声は、しっとりと濡れて僕の股間を刺激していたのだ。
「も…っいいっ!スザク!!」
彼が全く持って迫力のない命令を僕に下したので、僕は仕方なく彼の蕾から舌を抜いた。先程まで頑なに口を閉ざしていたそこは、すっかりとパクパクと物欲しげに入り口を開閉させて怪しく光る内壁をチラリとのぞかせていた。
「…もう、いいの?まだ少し、痛いかも…」
「いいと言ったらいいんだっ!」
僕は不用意な言葉を口にすると、ルルーシュは金切り声のような叫びを上げて僕の頬を打った。
「お前は、俺の言うことだけ聞いていればいいんだっ!お前なんてただの醜い性器なんだからな!」
そう罵倒すると、一過性の怒りは少し収まったのか、ルルーシュは乱暴に僕の充溢したペニスを鷲掴み、ぐいと自分自身の秘所へと押し当てた。
「ちょっ!痛いっ!」
「んっ!っっあっ!」
まだ解されきれていない排泄器官では、ルルーシュのものと比べても大分太く長い僕のペニスを容易には銜え込めない様子で、彼の形のよい唇から苦悶の声が漏れる。
「ルルーシュ、無理しないで…」
「あっ!!んぁあ!!」
僕がおずおずとそう声をかけた瞬間、彼は一層高い悲鳴をあげた。それと同時に、勃起した僕のペニスに、これまでにはない締め付けが加わる。ルルーシュは、自分の体重に任せて一気に奥まで僕を捻じ込んだのだ。
「…っ…きみって奴は…」
「はぁ…はぁ…っあ…」
痛みを伴う挿入に、ルルーシュは僕のペニスを銜えたまま、放心したように荒い息だけを繰り返していた。よく見ると、繋がった部分から、細い赤い筋が零れている。無理な挿入が、彼の弱い肛門を傷つけたのは明白だった。
「…ルルーシュ…」
「あぁっ!!」
ぼんやりとした濁った紫色の瞳で僕ではなく宙を見上げていたルルーシュ。どうにか彼の注意を引こうと、軽く腰を波立たせると、まるで玩具のような声を上げて彼は啼いた。
「ごめん…このままじゃお互い辛いから、動くよ…っ!」
僕の口から出るのは、いつだって僕を正当化するためだけの言い訳だ。
先程まであんなに傲慢だったこの美しい男が、僕のペニスを挿入した途端まるでお人形のように大人しくなってしまったことに、僕は興奮せざる終えなかったのだ。
「ひゃぁっ!ぁあっ!!やぁっ!!!」
僕は動きやすいように体を起こし、逆に固い床に彼を押し付け、彼が傷ついた代償として得た赤い潤滑油を使って、激しく欲望を打ち付けた。
「痛っ!!やぁ!!!もうっ!!あっ!あっ!!…もっ…とぉ!!!」
長時間煽られ続けて溢れ出るほど全身を満たしていた熱が、僕に「気遣い」という概念を無くさせる。痛みと快感で止め処なく喘ぎ、その切れ長の瞳から水のような涙を流す綺麗な親友を、ただ力任せに押さえつけ、思うままにそのアナルに自分のペニスを抜き座主のだ。
それはともすれば彼に拷問のような痛みを与えているのかも知れない。けれど不思議とルルーシュは、こうやって理性が効かなくなった僕が彼をひどく扱えば扱うほど、そのまだ色の薄いペニスから大量のカウパーを溢れさせるのだ。
「…ルルーシュ…何、笑ってるの?」
僕はまるで楔でも打ち込むような気持ちで、渾身の力をこめて彼を犯していた。
けれど、僕を見上げている(はずの)彼の表情は、いつの間にか苦悶や快感を通り越した、なんとも澄み切った笑顔を浮かべていたのだった。
「…っ…ルルーシュ、どうしたの?何が、おかしいの?」
僕は何だか馬鹿にされているような、とても嫌な気持ちになって、一層彼が痛がるように、膨張したペニスでその最奥をかき回した。僕の知り尽くしているはずのルルーシュの好きな場所を、執拗に責め立てる。
「あっ…そこっ…!!!だめぇっ…えっ!!…っあぁっん!!」
すると僕を見上げてゆるく微笑んでいたルルーシュは、すぐにまた淫乱な雌猫の顔に戻り、僕の耳に心地いい甘い悲鳴を上げ始める。
「ほら、余裕見せるから…」
「スザクっ!!!スザ…ッックゥ…!!!」
「?」
僕が意地悪く笑ってやると、彼はその細く白い指先で何かを求めるように宙を掻いた。反射的にその手を取ってしまった僕は、その瞬間見せたルルーシュの悲しそうな瞳を見てしまい、しまったと思わずにはいられなかった。
「…ふ…ぁ…スザ…ク…たの…む…っ」
「え?」
僕は彼の冷たい手を握ったまま、その瞳に吸い込まれてしまうような感覚に陥っていた。
二人の結合部からは、場違いに滑稽な水音がじゅぶじゅぶとなり続けている。僕が激しく動くことをやめてしまっても、彼もまた腰を揺らめかしていたのだ。
「俺を…んぁ!!…ぁ…はぁ……」
雲のかかった紫の硝子球の奥には、まだ僕の見知らぬ透明な輝きが眠っているのだと、そのときふと確信する。
火照って上気しているにも関わらず、何故だかルルーシュの頬は陶器のように冷たげな光を放っていた。
ズグンと、僕のペニスに一層の熱が集う。
「殺してくれ」
彼がそう言った言葉だけ、切り抜かれたようにクリアに僕の心に届く。
無意識に僕は彼を追い詰める運動を再開させ、ルルーシュはまた子どもの玩具のように、壊れた楽器のように、いやらしく僕を喘いで誘っていた。
「…それは、命令?」
「ぁぁあっぁぅぁあっあっあっあぁぁひっひっぁ…!!!!」
ルルーシュは絶頂が近いのか、僕の首に両腕を回すと縋りつくように強く抱きしめてきた。一層近くなった体温に、彼の雄弁な瞳も表情も、一切に見えなくなってしまう。
まとわり付くように僕のペニスを締め付ける肉壁の力が強くなっている。僕ももうすぐ、彼の中に大量の濃い白濁を注ぎ込むことになるだろう。


彼は本当にいつも、僕がきけないことばかりを命令してくるね。


果てる瞬間には、そんなことを思っていた。