あした天気になぁれ 0









悲鳴、血飛沫ときどき雨、後にようやく明日は、やさしい世界になるでしょう―――











というようなおかしな夢を見た。
僕の目の前には瓦礫の山が―それは小さい頃に見たゴミ処理場の映像とそっくりで―、そしてその声はどこか寂しげな不用品たちの奥から、風に乗って聞こえて来たのだ。
それは天気予報を元気に伝えてくれるブラウン管の中の彼女の声に、他ならなかった。
いっそ白々しいほど爽やかで明るいその口調に、夢の中だと言うのに僕は自嘲的な近親感を感じてさえいる。
けれど近付くに連れてその声には不快なノイズが混ざっていく。まるで僕という存在そのものが電波を妨害しているかのように。
ようやく音源にたどり着いた頃には、クリアだったあの声は砂嵐の彼方から、途切れ途切れに言葉を紡ぐのがやっとという状態になっていた。
音源は積み上げられたテレビの塔。
壊れて打ち捨てられたテレビが僕の身長ほどの高さまで危ういバランスで積んである。そのどれも、画面が割られていて何も映し出してはいなかった。ただ傷の奥に、寒気のするような存在を強調する闇があるだけだった。
砂嵐はより一層激しくなり、僕と彼女との交信はより困難になっていく。
声を目で聴き取るように、僕はゆっくりと瞳を見開いていた。視界が広がったとしても、映る景色は変わらないのに。
息継ぎよりもたちの悪い雑音の向こう岸から、彼女は必死な様子でもなしに僕に語りかけてくる。その声は、奇妙な程に冷静で、恐ろしいほどに明るい。











ようやく明日は、やさしい世界に―――